耐酸タイルの貼り付及目地材
耐蝕モルタルビトラック
ビトラックとは
変性したエポキシ樹脂に、フィラーを混合しペースト或いはパテー状としたものです。主剤と硬化液との二液性になっており、一定比率に両者を混合して使用します。常温硬化性ですから、一般左官職にて施工が可能で、安全です。
大切な耐蝕モルタルの選択
いかに堅緻な耐酸煉瓦、タイルを使用した構造体も、それらを結合する目地材の良し悪しで構造体の評価が左右されます。
目地の占める部分は全体の容積に比べてわずかではありますが、このわずかな部分の不良と不足は、その構造体に莫大な損害を与えます。
それ故に、適切なる耐蝕モルタルが要求されるわけです。
ビトラックの特徴
ビトラックは溶剤の揮発によって硬化するのではなく、樹脂間の分子の重合によって硬化しますから、内外同時に硬化する特徴があります。従って如何なる厚さにも施工出来ます。
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1.酸・アルカリ・油等に強く、広範囲の耐薬性を持っています。
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2.コンクリート・金属・木材・にも強力に接着します。
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3.硬化の際、膨張と収縮が極少です。
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4.硬化後可堯性でクラックと剥離がない。
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5.作業が便利なため完全施工が出来る。
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6.耐磨耗性が大で機械的衝撃に強い。
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7.耐寒耐熱性である。
ビトラックの主なる用途
化学工場 / 食品工場 / 石油精製工場 / 製紙工場 / 写真工場 / 醸造工場 / メッキ工場 / 硫黄温泉等、耐酸タイル・耐酸煉瓦の貼り付及び目地材として使用されます。
使用不適当な場所、濃塩酸、酸化剤を常時使用する場所。
ビトラックの耐薬性
メチルアルコール |
酸化剤 |
塩化炭素 |
芳香族石油 |
ベンゼン |
次亜塩素酸5% |
◎ | × | ○ | ◎ | ○ | △ |
アンモニア |
酢酸5% |
燐酸20% |
苛性ソーダ |
塩化カルシウム |
炭酸ソーダ |
◎ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ |
砂糖 |
硫化水素 |
食用油 |
クロム酸10% |
硝酸10% |
硫酸20% |
◎ | ◎ | ◎ | × | ○ | ◎ |
塩酸20% |
クエン酸10% |
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◎ | ◎ |
化学抵抗性の印は、◎優、○良、△可、×不可
ビトラックの種類
S型 | T型 | |
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用途 | 小型タイルの貼り付けと目地用 | 大型タイルの目地用耐酸レンガ貼り付け用 |
適切なる下地 | ・モルタル、金属、合板等の下地へ施工可能 ・モルタル面は平滑、金属面はサビ、油等の附着物のないこと ・セメントで貼り付け、目地はビトラックで詰める場合タイル側についたモルタル、ゴミ等は除去清掃しておくこと |
タイルの側面にモルタルが附着していないように清掃しておくこと |
工事上の特徴 | ・少々水分があっても施工が可能で工期を短縮する ・可使時間が適当 ・タイルがすべり落ちない |
・接着力がよく内外同時に硬化する ・難燃性 ・その他S型と同じ特性あり |
色・形状 | 白色、ペースト状 (缶入り) | 灰色、パテ状 (ポリ袋入り) |
ビトラックの使用量
1平方米のT型目地量算定方式(目地巾×目地深×目地の延米)×比重(2)=×キログラム
下記は実際量につき、ご注文の際は1割位加算して下さい
耐酸煉瓦・タイル貼り付けの場合 (一平方米当り所要量概算) |
1平方米 | 5.5kg | 3.6kg | 1.8kg | |
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塗り厚み | 3mm | 2mm | 1mm | ||
目地の場合 (一平方米当り所要量概算) |
種類 | 寸法 | |||
目地幅mm | 目地深mm | 所要量kg | |||
1煉瓦 | 60×100×200 | 3mm | 60mm | 6kg | |
タイル | 18cm角 | 10mm | 8mm | 1.9kg | |
〃 | 15cm角 | 7mm | 7mm | 1.4kg | |
〃 | 11cm角 | 6mm | 7mm | 1.5kg | |
〃 | 7.5cm角 | 4mm | 6mm | 1.4kg | |
〃 | 4.7cm角 | 5mm | 4mm | 1.6kg | |
〃 | モザイク | – | – | 1.6kg |
ビトラックの物理的性能
S型 | T型 | |
---|---|---|
比重 | 1.8 | 2 |
熱膨張係数 | 10.8 | 10.8 |
小型タイルの貼り付け、目地(5㎜以下)用
ビトラックS型 使用方法 ※失敗しない施工のポイント
ビトラックはエポキシ樹脂モルタルで、主剤と硬化剤とのセットになっており使用時、両者を規定比率(10:1)で調合して使用します。配合量が変わったり混練が不十分ですと完全硬化せず特性が出ませんので特に注意して下さい。
その1:下地処理
床工事では下地による影響で床材表面の不具合が生じ易く、特に改修工事の場合は表面に付着した油や不純物が影響し下地が脆く劣化していることもあります。油分等との反応による硬化不良・床材の接着不良・油分等の混合による床材表面のハジキが問題となることもあるので下地表面の研磨・洗浄(要乾燥)等の十分な処理が必要です。
その2:計量と混合
エポキシ樹脂は2液性の樹脂の化学反応によって硬化します。その樹脂の適正な配合量で反応をさせない硬化物は性能が十分発揮されません。計量器を使用して計量し、モルタルミキサーを用いて混練して下さい。
その3:金ゴテの洗浄
金ゴテを使用する場合、金ゴテには使用しているうちに床材の樹脂が付着してきます。この付着した樹脂が付いたままできれいに仕上げることは困難です。シンナーで金ゴテを洗浄しましょう。但し、過度の洗浄は樹脂へのシンナーの混入にもなりますので気をつけてください。
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1.準備
1.下地の条件
下地は金ゴテ押えとし、モルタルは3日以上、コンクリートの場合は15日以上の乾燥期間を必要とします。
施工面に汚れや油の附着している場合は清掃します。
金属面の場合はサビ及び油分を除去します。2.荷姿
主剤(缶入)10㎏・硬化剤(缶入)1㎏ 1セット
3.必要器具
混合用・・・計量器、小型混合機、容器(バケツ)、ゴムヘラ、櫛ゴテ
清掃用・・・ウエス(白)、シンナー4.調合比率
S型 主剤 10㎏+硬化剤 1㎏=(重量比10%)
(注意)
1.調合すると夏は30分、冬は3時間位の作業時間しかありませんので、作業量に応じた量づつ混合すること。
2.混合後、容器が深いと熱を生じて硬化が早くなりますから、浅く散らして作業して下さい。 -
2.施工方法
1.貼り付け
1.規定比率(10:1)で混合したS型を櫛ゴテで1~2㎜厚に塗りのばし、小型タイルを貼り付けます。
2.モザイクの場合、やや硬化後に水を使用して紙を剥がし、目地を規正して固定を待ちます。2.目地詰め
1.貼り付けの硬化を待ち、調合したS型をゴムヘラで目地になすりこみ、ついた余分のビトラックはかきとっておきます。
2.目地の半硬化後、シンナーに浸し固く絞ったスポンジ、又は白布で目地を規正しながら清掃します。
3.使用後、器具はシンナーで清掃のこと。 -
3.養生
本使用は2~3日後にして下さい。
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4.注意
1.混合比率は厳守のこと。硬化剤を入れすぎると硬化不良になります。
2.冬季は主剤を暖めるか、室内を暖めて使用のこと。(BESTは20℃)
3.タイル及び器具に附着したビトラックは硬化前にシンナーで清掃のこと硬化後では取れません。
4.硬化剤で皮膚の荒れる方がありますので手袋を使用して下さい。もし触れた場合は石鹸水で洗い、万一眼に入った場合は、直ちに水で洗浄し、専門医の治療を受けて下さい。
※尚、ご不明な点がございましたら当社迄ご連絡下さい。
大型タイルの目地(5㎜以上)用
ビトラックT型 使用方法 ※失敗しない施工のポイント
ビトラックはエポキシ樹脂モルタルで、主剤と硬化剤とのセットになっており使用時、両者を規定比率(20:1)で調合して使用します。配合量が変わったり混練が不十分ですと完全硬化せず特性が出ませんので特に注意して下さい。
その1:下地処理
床工事では下地による影響で床材表面の不具合が生じ易く、特に改修工事の場合は表面に付着した油や不純物が影響し下地が脆く劣化していることもあります。油分等との反応による硬化不良・床材の接着不良・油分等の混合による床材表面のハジキが問題となることもあるので下地表面の研磨・洗浄(要乾燥)等の十分な処理が必要です。
その2:計量と混合
エポキシ樹脂は2液性の樹脂の化学反応によって硬化します。その樹脂の適正な配合量で反応をさせない硬化物は性能が十分発揮されません。計量器を使用して計量し、モルタルミキサー等で混練して下さい。
その3:金ゴテの洗浄
金ゴテを使用する場合、金ゴテには使用しているうちに床材の樹脂が付着してきます。この付着した樹脂が付いたままできれいに仕上げることは困難です。シンナーで金ゴテを洗浄しましょう。但し、過度の洗浄は樹脂へのシンナーの混入にもなりますので気をつけてください。
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1.準備
1.荷姿
主剤(5㎏×4ヶ)20㎏・硬化剤(缶入)1㎏ 1セット
2.必要器具
混合用・・・計量カップ(添付)、小型混合機、容器(バケツ)、コテ類
清掃用・・・シュロホーキ又はダスター、ウエス(白)、石鹸水、シンナー3.調合比率
T型 主剤 5㎏+硬化剤 250g=(重量比5%)
(注意)
1.調合すると夏は30分、冬は3時間位の作業時間しかありませんので、作業量に応じた量づつ混合すること。
2.混合後、容器が深いと熱を生じて硬化が早くなりますから、浅い平底の容器に入れ替えて作業して下さい。 -
2.施工方法
1.貼り付け
T型でタイル又は煉瓦貼り付けの場合は必要の厚みにT型を塗り付けてタイル又は煉瓦を貼り付けます。但し、T型でのタイル貼り付けはかなりの熟練を要しますので、タイルの貼り付けにはS型をお勧めします。2.目地詰
適応した目地ゴテで普通目地のように一本詰めをします。シンナーでコテを拭きながら作業します。3.タイルに附着したT型は硬化前に必ずシュロホーキ又はダスターで清掃した後、シンナーを軽く浸したウエス(白布)で拭きとります。ウエスにシンナーをダボダボに付けた状態だと、硬化前のビトラックにシンナーが混入して硬化不良になる恐れがありますから注意してください。
4.使用後、器具は硬化前にシンナーで清掃します。
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3.養生
歩行は目地詰め後、夏季4時間、冬季24時間で出来ます。
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4.注意
1.混合比率は厳守のこと。硬化剤を入れすぎると硬化不良になります。
2.冬季は主剤を暖めるか、室内を暖めて使用のこと。 (BESTは20℃)
3.タイル及び器具に附着したビトラックは硬化前にシンナーで清掃のこと。硬化後では取れません。
4.硬化剤で皮膚の荒れる方がありますので手袋を使用して下さい。もし触れた場合は石鹸水で洗い、万一眼に入った場合は直ちに水で洗浄し、専門医の治療を受けて下さい。
※尚、ご不明な点がございましたら当社迄ご連絡下さい。